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2007年 03月 13日
感想_ツォツィ
感想_ツォツィ_b0130850_1435174.jpgアフリカを生き抜くのはかくも厳しいのか…。『ツォツィ』4月14日公開。"ツォツィ"(不良の意)と呼ばれる少年。本名も過去も明かさず、銃を片手に強盗、カージャックなどを重ねながら日々を送る。ある日、黒人女性を襲ってクルマを奪うと、後部座席には赤ん坊がいた。彼は黙って赤子を連れ出す。2006年アカデミー外国語映画賞受賞作。
映画「ツォツィ」公式サイト

フダ付きのワルってレベルを遥かに越えた、血も涙もないツォツィの冷酷っぷりにドンビキの前半。この世のすべてを恨むような荒みっぷりも、そのバックグラウンドを思うとある種の被害者としても見えてくる。暗い過去を抱えて、裕福なもの、言うことを聞かないもの、説教をするもの、すべてを憎むような眼差しなのに、無防備で無抵抗で生命以外に何も持たない赤ん坊だけは別だったってか。

性善説っぽい話だけ取ればそれほど珍しいものでもないかもしんない。けど舞台はアフリカで、その生々しい描写を観ると気は抜けない。AIDS、貧困、都市部のすぐ隣っぽいのに水道もない。子供たちですら生きるために牙を研いでいる。最初、人種差別的ストーリーを想像していたら違った。むしろ黒人内の格差だったりした。

そんなツライ話なのに、悲観するだけでは終わらないのが救い。アフリカの厳しさと同時に、希望を見せてくれるので最後には少し前を向ける。困難は唸るほどあるけれど、それで終わりではない。そう思えたな。

by april_cinema | 2007-03-13 00:00 | Starter


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