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2007年 07月 11日
感想_ブラインドサイト〜小さな登山者たち〜
感想_ブラインドサイト〜小さな登山者たち〜_b0130850_20573962.jpgオレが超えるべき山とはなにか。『ブラインドサイト〜小さな登山者たち〜』7月21日公開。盲目は前世の罪に対する罰、またはなにがしかの呪いであるとされ、盲人が社会的に隔絶されるチベット。ここに盲学校を設立した、自らも全盲でありドイツ人のサブリエは、同じく全盲でありながらエベレスト登頂という偉業を成し遂げたエリックを招く。これを機に子供たちはエベレストの隣、標高7000mのラクパリをめざすことになった。
映画『ブラインドサイト〜小さな登山者たち〜』公式サイト

勇気とチャレンジのドキュメンタリーは、単に障害者が苦難を乗り越える姿だけを捉えた作品じゃなかった。確かに前半は、チベットでの盲人に対する寛容でないスタンスや、生徒たちのバックグラウンドの説明に時間が割かれて、ふむふむなお勉強モード。でも後半、登山も佳境を迎えたところで投げ掛けられた多くの選択肢というロープに、この作品のドキュメンタリーとしての意義が集約されていた!

登山を通して生徒たちに襲いかかる困難を前に、クルーは戸惑う。子供たちは今、何を思うのか。自分はどうしたいのか。どうしてやることが彼らにとってベストなのか。それぞれの境遇、立場を通して、正解不正解のない衝突が起こる。登山という極限状態で表出したこの自問自答は、普段の一般社会で見え隠れしているものとまったく同種。ハンディを背負った者に対して、我々はいったい何をすべきか、何ができるだろうか。この一点。

オレん中の結論は、手を差し伸べること、だ。それが同情心だろうが、ありがた迷惑だろうが、おせっかいだろうが、とにかく助け合うこと。耳を傾けること。尊重すること。「彼らは"自分たちの山"を登った」。かどうかはきっと本人たちが決めることなんだろう。だからこそ、オレはまず手を差し出そう。

もちろん、健常者にとってもハードな7000m登山に挑む子供たちの勇気は感動を与えてくれるし、神々しいヒマラヤの景色もなにがしかのチカラをくれる1本。観る価値あります。さしあたってオレは富士山のてっぺん取らないとな!の決意を新たにしたのでした。

by april_cinema | 2007-07-11 00:00 | Starter


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