2008年 01月 05日
なかなか、じわじわ。『君のためなら千回でも』2月9日公開。アフガニスタンの首都カブール。アミールは使用人の子であるハッサンと大の仲良し。2人は村の凧上げのベストコンビだった。しかし、ある出来事が幼い2人を引き裂く。そんな折、ソ連によるアフガニスタン侵攻がはじまる。アミールは父とともにアメリカへ出国。月日が流れ、大人になったアミールの元にアフガニスタンの叔父から電話が入った。 〜君のためなら千回でも〜 すっきりと心が晴れるような物語ではないけれど、じっくりじわじわと心に染み入ってくる余韻。少年であったことを差し引いても、人間が持つ残酷さや、弱さ、わかっていながらも正しいことだけを選べない狡さ。それって程度の差こそあれ、誰もが抱えてると思うんだよね。時間が経つとなんとなく忘れてしまったりもするけど、あの日の後悔とかって決して消えたりはしないわけで。 アミールが抱えるのは、長く蓋をしてきたそんな過去。過ちを犯したとわかっているからこそ、償えるものではないからこそ、なんとかしたいという心情には素直に共感できたな。ちっともヒーローじゃない金持ちボンボンの息子だけに、おいおい、しっかりしろよ!なんて言いたくもなるけど、誰だってそうそうかっこよくは生きられないよね。 多くは語られないけど、ハッサンはとても潔く描かれる。少数民族という劣等感の中でも信じる物を見失わない強さ。そして裏切られてもなお友を想う清さ。彼が覚えたての文字で綴った手紙は涙腺を刺激してくれました。アミールとの対比であり、観るものへの希望ともとれる存在なのかな。 その他の人物や、アフガンという国の特殊な背景もうまく織り交ぜた、静かな感動作。不完全な人間だからこそ、支えられて生きているということ、そして誰かに優しくしてあげたくなるということ、そんな1本です。アミールの罪を償おうとする姿にも、反戦へのメッセージが込められているのかもしれません。
by april_cinema
| 2008-01-05 00:00
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