2008年 02月 06日
小粒な良品めっけました。『JELLYFiSH』3月15日公開。恋人と別れた、結婚式場ウェイトレスのバティア。上司に怒られるわ、部屋の天井は水漏れするわ、パッとしない毎日。ある日、海辺でたたずんでいると、浮き輪をした迷子の少女が現れた。バティアの式場で結婚したケレンとマイケル。しかしケガにより新婚旅行をキャンセルし、海の近くのホテルに泊まるがスイートは空いてなく、2人の間に気まずい空気が流れる。ケレンとマイケルの結婚パーティにいたフィリピン人ヘルパーのジョイは、老婦人マルカの世話をする。マルカは女優の娘との折り合いが悪かった。カンヌ映画祭カメラドール受賞作。 :JELLYFiSH: イスラエルを舞台にした、誰もが感じるあとちょっとうまくいかない日々と、そこにある等身大の希望をゆらりゆらりと描き出したプチ群像劇。スクリーン上を愛おしい人々がたゆたう、なかなかの良品! チラシのイメージほどポップな世界じゃなく、どちらかといえばややグレーがかった日常なんだけど、いろんなさじ加減が丁度よくって、素直に入ってくるわ。 バティアは、子供の頃からの親とのすれ違いが大人になっても尾をひいていて、どこか愛情に飢えた女性。人とのつながりに不安を憶えている感じがよく伝わる。幼い日の自分の姿に翻弄されたり、母親のポスター前で雨に打たれる、皮肉な画が淋しいんだわ。ケレンとマイケルは、目に見えない気持ちの行き違いを体現。目に見える死によってはじめてそれに気付くのがなんとももの哀しい。ジョイとマルカは言葉の壁に阻まれる。イスラエルのお国柄まで匂わせながら、でも互いに親として持つ愛情を抱きしめあって分かち合う。どの話も最後には、ほのかな希望を見せてくれるのであと味は意外なほど爽やか。主要キャラ以外にもいろんな背景を感じられるのがまたグッド。よく練られてる。『迷子の警察音楽隊』に続くイスラエル発の佳作だ! で、なにより響いたのは「みんななにかの第二世代」という言葉。途切れることのない人生のリンクを表したみごとなフレーズ! そうなんだよなー。誰だって誰かの子だもんなー。その時点でなにかを受け継いでいるんだよなー。宮部みゆきが「子供はみんな時代の子」って言ってたのと同じくらいの大ヒット。ビジュアルもしっかり作り込まれてる感じするし、どのエピソードにも母なる海をすぐそばに置いたりするメタファーも巧み。観れば観るほどにいろいろと感じ取れそうです。
by april_cinema
| 2008-02-06 00:00
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