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2007年 02月 28日
感想_アルゼンチンババア
感想_アルゼンチンババア_b0130850_23173248.jpg吉本ばなな原作(未読)。インパクトあるタイトルとは裏腹に瑞々しいファンタジー。『アルゼンチンババア』3月24日公開。大好きな母が死んだ。その日から父は失踪。半年後見つかった時、父は"アルゼンチンババア"と呼ばれる謎の女性の住む家にいた。みつこは父を取り戻しにいくが、父は頑として戻らない。
アルゼンチンババア

黄色がかった映像(フィルター?)がキレイで、カメラワークからもセンス感じるの。そんなカメラが映し出すお話は、ちょっとだけ現実を抜け出したようなファンタジー。独りぼっちになった娘、妻を亡くしタガが外れたような父、そしてアルゼンチンババア。3人の不思議なアンサンブルが、実力派の役者によって立体的に描かれてる。堀北はやっぱりこういう不遇な高校生が似合うし、役所さんは何も言うことなし。そして最大の功労者は、つい力んでしまいそうな変人キャラをナチュラルに演じた鈴木京香。すごくいいよ。

アルゼンチンババアの背景をあまり語っていないから(想像を膨らませよう)、少し伝わりづらいし、何か起きそうな予感はあるものの大したことは何も起きない。でも全体を流れる空気はいい雰囲気だったな。大切な人を失った痛みとそこからの再生。繋がっていく、ヒト、生命。言葉にするのは難しいけど、心に訴えかけるものがある秀作だと思います。

哀しみを受け入れて前に進む。微かな春風のような優しさ(だから感じないヒトには感じないかも)が背中を撫でてゆく、後味のいい1本でした。

by april_cinema | 2007-02-28 00:00 | Starter


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