2008年 08月 16日
なんと皮肉な自由か! 『この自由な世界で』8月16日公開。職業紹介所で働くアンジーは、不当解雇を機に友人ローズと独立。移民相手に職業斡旋を始める。両親に預けた息子のジェイミーと一緒に暮らすべく、生活を安定させようと奔走するアンジー。そしてついに、不法移民にまで仕事を紹介し始める。 映画「この自由な世界で」公式サイト イギリスの移民事情を題材にした硬派な作品だったけど、キャラに魅力があり、物語にはリアリティがあって引き込まれました。アンジーは、自意識と上昇志向の強い人間で、その選択は共感できないことも多々ある。だけどその背景がしっかりと感じられるから決して嫌悪感は抱かないんだよね。あー彼女もまた搾取されてきた側なのか、と。 もちろんアンジーの下には移民たちがさらなる搾取にあっていて、負のスパイラルは容赦がない。でもそれが現状であり実態であり、そしてそれは"自由"の名の下に行われているという皮肉がなんともいえない余韻となって刺さってくる。お国の事情が全然違うから、当然受け止め方に距離はあるけどね。 しかしケン・ローチは、この社会構造をフラットに描き出していて見事。誰かを糾弾するでも何かを断罪するでもなく、弱者への優しさとともに問題提起をしながら同時に未来へと目を向けるその姿勢は経緯を払うに値します。 重過ぎずともしっかりした仕事は、一見の価値あり。ラストもおみごとでした。
by april_cinema
| 2008-08-16 00:00
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