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2008年 10月 11日
感想_しあわせのかおり
感想_しあわせのかおり_b0130850_20375075.gif丁寧な映画だにゃ。『しあわせのかおり』10月11日公開。シングルマザーの貴子がデパート出店を頼みにいった金沢の小さな中華料理店。出店はにべなく断られたものの、あまりに美味しいランチに貴子は思わず笑顔をこぼす。ある日、料理人の王さんが倒れ、彼に亡き父親の姿を重ねていた貴子は、仕事を辞め弟子にしてくれと頼む。
映画『しあわせのかおり』公式サイト

NHKか?って思っちゃうような地味で退屈な映画だけど、それはそれは丁寧に丁寧に描かれてます。派手なことや盛り上がりはなくても、真摯に描かれそして演じた人物を見ていると最後にはほんのりとあたたかい気持ちに。きっとこんな市井の料理人はいろんなところにいて、多くの人に幸せな気持ちを与えているに違いないと。そう感じることができます。料理はアイジョー。

藤サンが素晴らしく、どっからどうみても上海の料理人。濁点がうまくいえなかったりするところも超リアル! しかも後半体を悪くしてからの演技もすばらしいよ。一方久しぶりにまともな現代人を演じた中谷さんも、料理の特訓からはじまって、ほぼ吹き替えなしでやりきったそうな。アップもけっこう多かったけどさすがのお美しさですわ。美!

ともに家族を失っている2人は疑似親子的な絆を築くわけだけれど、親子に限らない、教えを乞える人がいるということ、教えを託せる人がいるということ、この幸福というのを強く感じたんです。人間、1人きりで成長するのはどうしても限界があるものだから、道を示してくれる人がいるというのがどれほどありがたいものか。そして得たものを誰かに残していけるというのは、生きた証を残すようなもの。これもまた貴重なものなんだろうな。人と人のつながり。連鎖。大事ですよね。

やけに野暮な演出も若干見られたものの、ステレオタイプではない絆やしあわせのありかたを押し付けることなく描いた作品。シンプルだけど優しくておいしい料理をいただいたあとのような幸福感が残る良品でした。

by april_cinema | 2008-10-11 00:00 | Starter


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