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2008年 09月 06日
感想_わが教え子、ヒトラー
感想_わが教え子、ヒトラー_b0130850_106511.gifユニークだね、なかなか。『わが教え子、ヒトラー』9月6日公開。第二次世界大戦もいよいよ苦境に立たされるナチス・ドイツ。独裁者ヒトラーもかつての威厳はなく、部屋に引きこもりがちだった。そんなヒトラーの覇気を取り戻し、国民の前で士気を高める演説をぶたせるべく、宣伝相は元俳優のユダヤ人、グリュンバウムを収容所から呼び出す。ヒトラーの演説指導を言い渡されたグリュンバウムは、同胞の敵と向かい合うことに。
「わが教え子、ヒトラー」公式サイト

1944年末のドイツ、しかもヒトラーとユダヤ人という構図からすると相当ヘヴィなものを予想していたけれども、意外にもひょうひょうとした描き方で、ともすればブラックユーモアまでもちりばめた作り。ジャージのヒトラーとか、KOされるヒトラーとか、不能のヒトラーとか、そこにいるのは哀れなおっさん。5日間が軽やかに進んでいきます。

軽やかではあるものの、強制収容されていたユダヤ人の悲哀、ドイツ幹部の悲哀、ドイツ国民の悲哀、ヒトラーという孤独な人の悲哀、そしてグリュンバウムが辿った運命の悲哀がさりげなくこめられていて、なかなかに味わい深い印象を残してくれるのね。数十年のときを経たあとこうやって俯瞰すると、なんだか悲しくなるばかり。

主演は『善きソナ』のミューエさん。決して大物ではないユダヤ人をリアルに見せてくれました。残念なことにこれが遺作となったそう。ご冥福をお祈りします。

by april_cinema | 2008-09-06 00:00 | Starter


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