2008年 10月 18日
ちぐはぐな話だぜ。『P.S.アイラヴユー』10月18日公開。最愛の夫ジェリーを亡くしたホリー。その痛みから抜け出せず自宅にこもる彼女あてに、ジェリーが遺した手紙が届き始めた。そこにはジェリーからの指示がつづられ、締めの言葉はいつだって"P.S. I love you"。手紙を待ちこがれ、しかし届くたびに思い出が蘇る。喪失感を募らせるホリーだったが、時間はすべてを少しずつ押し流していた。 映画『P.S.アイラヴユー』公式サイト 別に悪いとは思わないんだけど、ちーとも響いてこんぎゃ。妙ちくりんに軽々しい音楽と、意味不毛にちょいコミカル演出が、そもそも根底にあるはずの喪失をほとんど水道水みたいな味にしちゃってて、ホリーが悲しみにくれる様子が全然真に迫ってないのよ。ヒラリーは上手なんだろうけど、それがちーとも活かされておらず、巧いだけに現実離れして寒いぜ。そもそもキャラじゃないっつーのも減点要素。 多分、ジェリーと過ごした時間を手紙で徐々に思い出し、思い出すことによって茫漠とした喪失感に明確なカタチが与えられ、結果、荒療治的に悲しみが癒えていく、ていうような路線が狙いにあると思うのだね。だけど、それがうまくオチてないせいで、ただほわんほわんと過去をフラッシュバックしつつ、よくわからんうちに現実が前に進んじゃってて、どっちのベクトルもえらく中途半端。一つ一つに有機性がありませんの。なんなのよ、ダニエル? 誰なんだよ、ウィリアム? 全然役に立ってないよ、女友達? というか、ジェリーの死に際ってどんなもんだったんでしょか。 大オチの展開もやたら唐突だし、そういえばホーリーが定職にロクについてないダメ女だったことも最後まですっかり忘れてたことがキャラの薄っぺらさの証明。ジェラルド・バトラーは『幸せの1ページ』に続いてなんとも宙ぶらりんな登場っぷり。数少ない秋の恋愛映画ですが、どうにも空振りでった。 P.S. 妹よ、なにしにオーストラリアから来たんだ?
by april_cinema
| 2008-10-18 00:00
| 6th-man
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