2008年 11月 29日
いろんな人がいるから。『青い鳥』11月29日公開。臨時教師の村内がやってきた東ヶ丘中学校2年1組。そのクラスには1ヶ月前にある事件が起きていた。それは、いじめを苦にした生徒の自殺未遂。村内は、その生徒の机をクラスに戻し、毎朝「野口君、おはよう」と声をかける。吃音である彼をクラスは笑うが、村内はどもりながらも本気の声を伝えようとしていた。 映画『青い鳥』公式サイト とっても真面目で誠実で、いい映画だなー。重松清の原作は短編なのかな?(短編でした) ミニマムな設定だけど、だからこそそれをひとつひとつ、ひと言ひと言丁寧に紡いでいる印象。いじめの存在を変にドラマティックにもペシミスティックにもせず、それを高らかに糾弾するようなものでもない。ただ、人の心の弱さだったり覚束なさを前提としながら、それを否定せずに、ではボクたちはどうやって生きていけばいいのか。そんなことをメッセージする。 キーワードは「本気」と「想像すること」「伝えること」。村内は最低限のことしか喋らない。それは彼が吃音だからなのかもしれないけど、そうやって選ばれた"本気"の言葉は確かに説得力を持って伝わってくる。「いろんな人がいるんだ」というなにげないセリフがあったけど、これがオレのハートにはどストライク。そう、いろんな人がいる。村内のようにうまく喋れない人。園部のように内に秘める人。井上のように主張する人。そして野口のように冗談めかしてしまう人。だから、本気で想像しないといけない。相手はこれをどう思うのか。相手の言葉にはどんな想いがあるのか。それは半端に聞いていたのでは到底できっこない。本気じゃないといけない。 本郷君の涙の訴えは胸に迫るものありました。幼顔は中学生役にぴったりで、阿部ちゃんと見事なコントラスト。あと、オープニングで流れる、まきちゃんぐの歌が素敵。映像との食い合わせもとっても良くって、初っぱなからいい映画を予感させてくれたよ。この感覚は同じく重松清原作の『きみの友だち』でも味わわせてもらったっけ。 重松作品は、映画にしやすいテーマが多いのかしらね。地味な作品ではあるけれど、真摯で余韻のあるよい映画でした。ただ、村内先生は村内先生で、ちょっと態度悪過ぎでは?って思ったけどね。
by april_cinema
| 2008-11-29 00:00
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