2008年 12月 27日
なんと奥ゆかしいエンディングか。『そして、私たちは愛に帰る』12月27日公開。トルコ出身ドイツ在住の大学講師の息子と、娼婦と暮らそうとするその父親。娼婦はトルコに娘を残し、ドイツに出稼ぎに来ていた。その娘は、トルコで反活動家となりドイツに亡命。そこでシャーロットという学生と知り合うが、シャーロットの母は見知らぬトルコ人を家に泊める娘に眉をひそめる。3つの親子の物語が、ドイツ←→イスタンブールを舞台に交錯し、そして喪失の果てにそれぞれの愛を見つける。 そして、私たちは愛に帰る 3つのオムニバスっぽい方式を取ってはいるけれど、基本的には1つの大きな流れのもとに集められた3組の親子の6人群像物語。親と子って気を許しすぎているからこそ時に距離があいてしまう存在。だけどその根底にあるのは、やはりどうしようもない愛情であり、お互いを求める気持ち、ってことを、とてもやわらかく教えてくれる物語です。 でも、それを知るのは今回、2つの死を通して。その死によって3つの親子の運命がリンクしていくわけで、ちょっとそれは哀しくもあるんだけど、ある意味それも人生という大きな流れの中の巡り合わせの不思議さのメタファーと考えればいいのかもしんない。世界全体で観れば、その死自体はどこにでもあるものだから。 わかりやすい群像劇ではなく、小さな描写がとてもリアル。父が持っていたなにげない愛情。無意識に同じ道をたどっていた娘と母。長く離れていてもお互いを忘れることはなかった母娘。親子愛を説教じみて伝えるのではなく、小さな小さな物語を通して、自然発生的な感情を見せてくれて、とっても好感持てました。話の転がり方もとてもスムーズで、無理矢理話をくっつけてるようなあざとさは全然ありません。 ラストシーンは潔く、なんともいえない余韻を残し、それはまさに原題『The Edge of Heaven』な情景。解釈は人それぞれ。静かに心くすぐる秀作です。
by april_cinema
| 2008-12-27 00:00
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