2008年 12月 20日
好きなタイプのはずなんだけどなー。『Paris』12月20日公開。心臓を患い余命宣告されたピエール。弟を心配した、シングルマザーの姉エリーズとの同居が始まる。ピエールが安静にするアパルトメンから見える風景。向かいのアパルトメンに暮らす美しい女学生。近くのパン屋。姉が通うマルシェ、アパレル業界の娘とある移民…。それらパリの日常はすべてきらめいて映るのだった。 セドリック・クラピッシュ最新作|PARIS パリで暮らす人々の、なにげない日常を切り取り、たとえいつも文句を言っていても、退屈だとしても、それ自体はこんなに素敵な奇跡なんだよーってことを淡々とつないでいく本作。複数の人物が微妙にリンクしていくいかにもな群像劇でやんす。パリという街そのものを主役のようにとらえて、モンマルトルから市場や移民街まで、観光名所も地元の姿もとらえてて、こういうなにげないタイプはけっこう好き。 なはずなんだけど、どうもハマりきれなかったなー。やっぱさ、死を待つ人間の目を通したら、そりゃーすべてが美しく見えちゃうよね。そんなこと言うなって感じかもしれないけど、それは反則のように思えたのです。しかもラストでそれを明言化してしまったのもちょっと興をそがれる向きがあったなー。そういう特別な視点ナシで、いかに日常が愛しい物か教えてほしかったかな。 もうひとつは、これは別にパリに限ったことじゃないよね?ってこと。日常がすばらしいってのは普遍的なお題なはずで、これをパリに限定した意味をイマイチ感じなかったわ。そりゃ、移民問題とかは、ならではってところもあるだろうけど、その他は特にどこの都市にもあてはまりそうなもの。このタイトルと街がなんとなくぼやけて見えてしまったのはこの2点が原因でしょーな。 こないだ見たばっかの『スパニッシュ・アパートメント』もイマイチだったし、どうもセドリック・クラピッシュ監督とは相性悪いみたい。パリの街並はたっぷりと映し出されますが、表面には見えてこないパリの街が持つ本質的魅力ってのももう一つ感じなかったんだよなー。
by april_cinema
| 2008-12-20 00:00
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