2008年 12月 20日
引きずり込まれてこのラストですよ。『永遠のこどもたち』12月20日公開。ラウラは、かつて自分が育った孤児院を買い取る。そこを昔のような孤児院にしようと、夫と息子シモンを連れ移り住むが、シモンはそこで"想像上の"友達と会話しはじめる。そしてホームのオープンパーティの日、シモンが突然行方をくらませた。現れる謎の老女、知られざる孤児院の過去、シモンが見つからないまま半年が過ぎ、しかしラウラたちは捜し続け、やがて孤児院の中の真実を知る。 映画『永遠のこどもたち』公式サイト タイトルから、何かやさしくて切ない憧憬のようなものを想像して行きましたが、全然チガッター! 予想は裏切られ、だけど期待は裏切られない出色のデキ。ホラーとダークファンタジーとが融合した×オカルトちっくでミステリな展開は、進めば進むほど見逃せなくなり特に後半1時間はかぶりつき。けどそれを単なる真相探究心だけで終わらせない美しく重層的クライマックス。いやー魅せられましたわー(しかしラストのお墓は蛇足)。 後から後からいろんな疑問が押し寄せてきて、そのwhyを追求して行くとどんどんこの映画世界に引きずり込まれてくのですよ。孤児院を出てからのラウラの人生とは、シモンへの愛情とはどんなものだったのか。そもそも障害を抱えた子供たちが集まったその孤児院とはどんな場所だったのか。シモンが見ていたイマジナリの世界はなにが引き寄せたのか。ラウラがそこにコネクトできたのは、愛情ゆえなのか、死の匂いゆえなのか。そして、単なるオカルトでカタをつけるわけにはいかない想像力のもたらす異空間。それらの断片がうまく折り重なって、極上ミルフィーユってなもんです。う〜ん美味! がしかし、結末や真相そのものはやりきれなく、ラウラが背負った因果応報(と言っていいのか?)はあまりにも哀しいぜ。『パンズ・ラビリンス』並にハッピーエンドなのか、サッドエンドなのか、判断しかねまるストーリー。終わってすぐもう一度観たいと思わせる秀作でした。
by april_cinema
| 2008-12-20 00:00
| All-Star
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