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2008年 12月 31日
2008 Most Valuable Cinema 10
今年公開した映画の中から、最も心に残った10作品 & moreを発表!で2008年を締めくくり。
【鑑賞数:外国映画145作品(昨対+14)、日本映画77作品(昨対+7)】

#10_人のセックスを笑うな
汁が出そうなほどの恋愛モードで、他人の恋愛を覗き見するこの感覚がたまらん! みんな羨ましくなるほど恋してて、キャラは総じて魅力的。キャストもすこぶる魅惑的。"恋愛 of the year"は絶対コレ! ちなみに"思春期 of the year"は『きみの友だち』、"青春 of the year"は『ひゃくはち』に決定。

#9_ラースと、その彼女
比較的最近観たせいもあるけど、途中からずっと泣いてしまいそうなほど温かかった〜! 奇妙な設定なのにイロモノじゃない正攻法で、今年の最も善良なるシネマビレッジ&ピープル。"来年のクリスマスプレゼントにゼヒ"ランク堂々の1位! 
ビートルズ好きさんには『アクロス・ザ・ユニバース』を贈るのもよいデスネ!

#8_イントゥ・ザ・ワイルド
その旅路は、常人には到底たどることの出来ない道のりで、だからこそクリストファーが文字通り命賭けで得た真理に撃ち抜かれるのよ。物理的な意味を越えた"ロングディスタンス賞"はこの作品しかありません。

#7_JUNO/ジュノ
ダントツの"絶対好きになるガール"、ジュノ! そして何度でも言おう、エレン・ペイジはカナダの蒼井優だ! 自意識過剰娘の妊娠サプライズというこれまたイロモノ設定ながら、青春路線で成長していく姿に完全シンクロ!

#6_トウキョウソナタ
家族といえど他人。どんなに近くにいても別の個体。だけど家族ってのは、それぞれの居場所になり要塞になり安心や信頼になり戦場になり、そして無償のホームである。この"親愛なる不協和音"が、多くの日本人に届きますように。

#5_つぐない
「償いとはなにか?」を最後の最後で一気に問いかけるエンディングに、観賞後どこまでも想いをめぐらせてしまう今年度最高の"文学賞シネマ"。悲し過ぎる結末、タイプライティングの音、時代のムード、そして入り組んだプロット。非の打ち所ないでしょ。あとひと言、シアーシャ・ローナンは最優秀萌姫です。
それから、同じく文芸大作の映画化『ブラインドネス』も絶品! "視えない目からウロコ"をぜひ味わってみて。

#4_僕らのミライに逆回転
モノ作りに携わる人には絶対絶対絶対観てほしい! ジャック・ブラックに泣かされるなんて嬉し過ぎる逆転サプライズ! 文句なしの"クリエイティブアワード2008"!!

#3_ダークナイト
真のMVCはコレと言って間違いなさそうな"the very worst of JOKER"。抜群の完成度に圧倒されすぎたのと、そのテーマ性&ヒースの死という重い要素があまりにツライので第3位。がしかし、1月の劇場再公開は絶対観にいく!

#2_ダージリン急行
初めてのウェス・アンダーソンに完全べた惚れ! そのユルいキャラもオリエンタルな美術も爽やかインド音楽もおしゃれすぎる衣装もなにもかもすべて計算ずくなのに、それが全然嫌みじゃない! どうでもいいことをこんなに一生懸命やるなんて最高じゃんか! 旧作全部遡らせるほどにハマった、愛すべき"大人げゼロのスマート"。

#1_ガチ★ボーイ
え〜コレですか?って感じもしなくないけど、だって一番泣けましたもの。五十嵐がガチで戦うのは、段取りを覚えられないからじゃない。彼がそういう不屈のオトコだったから。五十嵐の強さと弱さを尊びそして持ち合わせる人間でいたい、そう本気で思わせてくれた、"五十嵐は忘れてもオレは忘れない熱血MAXのカウントスリー!"(長過ぎ)。2回観る映画じゃないけど、オレん中では今年の代表作です。

b0130850_20324766.jpgいやいや、今年は本当にいい映画にたくさん巡り会えて大満足。10本にしぼりきれずに突っ込んじゃったものもあるけど足からZoo(2009丑年)。むしろまだまだ入れ足りなかったよ! 来年もよき映画に巡り会うことを祈りつつ、この辺でMacをシャットダウンしたいと思います。

2007年→2007 Most Valuable Cinema 10
2006年→2006 TOP10 CINEMA
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by april_cinema | 2008-12-31 00:00 | Standings
2008年 12月 29日
感想_モーターサイクル・ダイアリーズ
b0130850_12317.jpg「チェ 24歳の目覚め」。『モーターサイクル・ダイアリーズ』DVD鑑賞。アルゼンチンの医大生エルネスト・ゲバラは、友人のアルベルトとともに1台のおんぼろバイクで南米放浪の旅に出る。めざすはベネズエラ。いくつもの国を渡り歩き、そこに暮らす人々との交流の中で、エルネストの中に新たな感情が芽生え始める。後のキューバ革命の指導者、チェ・ゲバラの若き日の真実の姿を、本人自筆の日記から探る。
モーターサイクル・ダイアリーズ:角川映画

いやー良かった。こりゃあれだね、年明けの話題は『チェ』の2部作だけど、本作を加えた3部作として観るのが正解ですわね。てくらい大事な1本。というか、やっぱりこのバックボーンなくしてチェ・ゲバラを語るのは無理だわ。

序盤は、南米大陸の風景に目を奪われる。だだっ広い大地。雪のアンデス。素朴な街並。ロードムービーらしい、トリップ感たっぷりで、そこを観ているだけでも楽しい。その中での交流に、過剰なドラマティシズムや、ゲバラを英雄視するヒロイズムがないのがいい。ともすればドキュメンタリーのように思えるほど、自然にじっくりと描かれて行く旅程。しかしその中で、エルネストの本質が少しずつ垣間見えて行く。すなわち、高い理想。率直で臆することのない物言い。高潔な精神。人を惹き付ける語り口。医師としての哲学。そして生涯ついて回る喘息。ガエル君があたワイルドさもありながら、品があって凛々しくて、エルネストのキャラクターとぴたりハマるんだな〜。

効果的にモノクロの映像を挟みながら、言葉を用いずとも語りかける映像の使い方も巧い。その目で見て、その耳で聞いて、そして心が知った南米という大地に根付く人々の息吹。地域や国というくくりに疑問を持った彼にとっての理想が共産主義というスタイルだったことも素直に納得できたわ。そしてなぜキューバという、祖国ではない土地だったのかも。

しっかしここからわずか4年にしてキューバ革命を成し遂げたのかと思うと、感服するほかなし。今初めて、心の底からエルネスト・"チェ"・ゲバラをリスペクトです。
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by april_cinema | 2008-12-29 00:00 | MVP
2008年 12月 28日
感想_セブン
b0130850_050316.jpg公開当時に観たかったかも。『セブン』DVD鑑賞。定年退職まで1週間となった刑事サマセットの元に、新しく着任したミルズ。血気盛んな彼をサマセットは諌めていたところに殺人事件が発生した。被害者は尋常じゃない肥満の男で、現場には「GLUTTONY=大食」の文字が残されていた。翌日、再び死体が発見された。そこには「GREED=強欲」の文字。サマセットは、それがキリスト教の7つの大罪をなぞらえていることに気づく。

デイビッド・フィンチャーの映像オタクっぷりが存分に味わえる1本でしたわ。オープニングからして凝った作りで、序盤の雨の犯罪都市、そして異様なまでの殺人現場の数々と被害者たち、ミルズの揺れる自宅、でもって緊迫の追跡シーンとクライマックスの大荒涼地帯。退廃的ムードがスタイリッシュに連続しています。が、今観るとやや古さは否めないところ。公開当時はきっとかなり前衛的だったに違いない。

で、中身のほうはサイコスリラーで、インパクトは十分あって興味はそそるんだけど、中盤以降はちょっとダレて見えたかな。サイコな犯人とはいえ、意外にサラっとしゃしゃり出てきてしまって、サマセットとミルズの活躍という意味ではイマイチ。というか、完全に後手踏みっぱなしで終わるし、衝撃のラストに関してもまあ読めてしまうといえば読めてしまうところ。なにより、完全に猟奇殺人で終わってしまっていてメッセージ性に欠けるところが興を削いでしまった最大の原因。なにせ『ダークナイト』を観てしまった直後だけに、これはモノ足りんね。

しかしまだ若いブラピ&主役のモーガン・フリーマンはたっぷりと堪能(ミルズ家での大笑いはなんか貴重な気が)。でも全部かっさらっていってしまったのはケビン・スペイシー。さすがのキレっぷりに、ちょっとカッコいいのでは!?と思うほどゾクゾクしました。後味は悪いけれど、よくできたサスペンスであることは確かだと思います。
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by april_cinema | 2008-12-28 00:00 | Starter
2008年 12月 27日
感想_そして、私たちは愛に帰る
b0130850_1531090.jpgなんと奥ゆかしいエンディングか。『そして、私たちは愛に帰る』12月27日公開。トルコ出身ドイツ在住の大学講師の息子と、娼婦と暮らそうとするその父親。娼婦はトルコに娘を残し、ドイツに出稼ぎに来ていた。その娘は、トルコで反活動家となりドイツに亡命。そこでシャーロットという学生と知り合うが、シャーロットの母は見知らぬトルコ人を家に泊める娘に眉をひそめる。3つの親子の物語が、ドイツ←→イスタンブールを舞台に交錯し、そして喪失の果てにそれぞれの愛を見つける。
そして、私たちは愛に帰る

3つのオムニバスっぽい方式を取ってはいるけれど、基本的には1つの大きな流れのもとに集められた3組の親子の6人群像物語。親と子って気を許しすぎているからこそ時に距離があいてしまう存在。だけどその根底にあるのは、やはりどうしようもない愛情であり、お互いを求める気持ち、ってことを、とてもやわらかく教えてくれる物語です。

でも、それを知るのは今回、2つの死を通して。その死によって3つの親子の運命がリンクしていくわけで、ちょっとそれは哀しくもあるんだけど、ある意味それも人生という大きな流れの中の巡り合わせの不思議さのメタファーと考えればいいのかもしんない。世界全体で観れば、その死自体はどこにでもあるものだから。

わかりやすい群像劇ではなく、小さな描写がとてもリアル。父が持っていたなにげない愛情。無意識に同じ道をたどっていた娘と母。長く離れていてもお互いを忘れることはなかった母娘。親子愛を説教じみて伝えるのではなく、小さな小さな物語を通して、自然発生的な感情を見せてくれて、とっても好感持てました。話の転がり方もとてもスムーズで、無理矢理話をくっつけてるようなあざとさは全然ありません。

ラストシーンは潔く、なんともいえない余韻を残し、それはまさに原題『The Edge of Heaven』な情景。解釈は人それぞれ。静かに心くすぐる秀作です。
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by april_cinema | 2008-12-27 00:00 | Starter
2008年 12月 27日
感想_アンダーカヴァー
b0130850_123157.jpgどうもポリスものに萌えんなー。『アンダーカヴァー』12月27日公開。1988年NY。警官一家に生まれたボビーは、しかしその家柄を嫌い裏社会に身を置いていた。警官の兄と父が麻薬取り締まり強化にあたり、そのターゲットはボビーが出入りする店のロシアンマフィア、ニジンスキーだった。ボビーは、父と兄から、おとり捜査への参加を依頼されるが…。
映画『アンダーカヴァー』公式サイト||12.27潜入開始

ポリスアクション×復讐もの×家族の絆でまとめあげてて、緊張感ありつつ見てくれもなかなかいい感じ(キャスト的には渋いけど、エヴァ・メンデスがエロくて一癖あってイイ)。だけど、スピード感を求めたせいなのか、ちと展開が都合よすぎるのではないかな、と。まずニジンスキー君がどうも簡単にボビーを信用しすぎてる気がしたのが引っかかった最初。確かにある程度とけ込んでたとは思うけど、"アメリカ人が入れない"と言い切る領域にずいぶんあっさりアメリカ人入れちゃったよね、みたいな。

でもって、父の死が兄弟の溝を埋めるってのはもちろんよくわかるし、納得いくところなんだけど、その展開も安直すぎやしねっすかー、って。そこがこの映画最大のターニングポイントなわけだけど、それをギラリ光らせるほどには前半の布石が効いてなかったと思うのです。別に疑問とか違和感とかはないけど、琴線を揺らすほどの深みはなかったなー。

ということで、ネタは悪くないと思うし演技や雰囲気はいいけど、ストーリーにヒネリと深みが足りないかと。サクサク話は進むんで、混乱することもないし、イイモノとワルモノがわかりやすいのを良しとするか物足りないとするかってとこでしょうか。オレは後者って感じですた。
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by april_cinema | 2008-12-27 00:00 | Starter
2008年 12月 27日
感想_ダークナイト
b0130850_2341031.jpg打ちのめされるほどの真理。『ダークナイト』ようやくDVD鑑賞。ゴッサムシティには、相変わらず悪がはびこっていた。マフィアに加え、バットマンのフェイクまで登場し、そして表れたジョーカーと名乗る男。道化のようなメイクを施した男は狂気にまかせて爆破予告、殺人予告を繰り返し、町に表れた新任検事ハービーの正義をも揺るがす。そしてバットマンもまた、理解できないジョーカーの行動の前に選択を迫られていた。2008年ナンバー1映画の呼び声も高いバットマンシリーズ最新作!!
ダークナイト

なにから書いていいかわかんないほどに打ちのめされました。とにかく弛緩することなく鷲掴まれ続ける150分。そこにあるのは圧倒的なまでの真理、真実。すなわち人間の中に必ず眠っている悪意、狂気、そしてそれに対する正義と良心。ほぼすべての人間の中には絶対に弱さと、悪とは呼べない程度の悪意が潜んでいて、それはきっかけさえあればいつでも噴出する。そしてそのインパクトの大きさによっては、人はイカれもするし、憎しみに絡みとられれば狂気の虜とさえもなってしまう。ハービーのように、高潔な精神と正義感を持った人間でさえも。バットマンはたまたまいいほうに向いたけれど同じ変化を辿っていて、ジョーカーにしてもアウトプットが違っただけで、同種のプロセスを経たに違いないってのからして、すでにいたたまれない。その予兆だけでも十分語れるよ。

昨今の日本の凶悪犯罪にも通じる、理解をはるかに超越したジョーカーの純然たる悪意。そこには常人に共感できるようなロジックなんて存在しないから、それを止められるはずもない。原因や理由と呼べるものがなけりゃ、改善や対応の余地が見当たらないのは自明の理。そんだけじゃなく、強すぎるものはそれに対抗する別の強さを生み、ツバ吐くものがあれば吐き返すものがあり、という社会の暗黙のスパイラルとルールも、一切の妥協や楽観なく、正義にも悪にも偏ることなく描かれる。=完全なるフェア。ハービーのいう「運」と同じくらいにフェアな視点。倫理や道徳だけでは割り切れないこれらに対して、はたしてどう対処していけばいいのか。人々の善意っつーわずかな希望は示されるけど、そこに美談とか過剰な期待はない。クリストファー・ノーランのビジョンは徹底してブレずに真実だけを突きつけてくる。もはや、アメコミやアクションエンターテインメントという言葉からイメージさせられる気軽さは皆無。

バットマンやハービーはもちろん、ジョーカーやゴードン、市長やレイチェルに至るまで登場人物すべての感情がリアルだけに、こうだ!という答えは出せそうにない。そもそも問いかける作品でも答えを出す作品でもないような気がして、つまりは自分の中の善と悪を認め、それと向き合わせるためのモノなのかもしれない。社会に必要なのは完全無欠のヒーローではなく、一人ひとりの人間が善悪の意味を知り、その先にあるものを想像すること。ジョーカーの言う「先が読める」ってのはもしかしたらこのメタファーなのかも。ハービーが堕ちた「フェアな運」は、善悪のバランスのことを痛烈に指している。社会や群衆ってのはどうしてもバランスをとる方向に動くし、情報過多で誰もが発信手段を持つ今、1人のカリスマやヒーローが君臨できる時代は過ぎ去った。善が突出していたハービーも、それを揺り戻されざるをえない価値観の存在に耐えきれなかったわけで。多分、今の世の中、完全なる正義や完全なる悪ってのは存在できなくて、バットマンのように例え個の中で完成されたものがあったとしても、個と個がかかわり合って生きるこの社会において、それが完結することはないんだね。そう考えるとホープレスなようにも感じられちゃうけど、これを認めないことにはもう次のステージに進めないのが現在進行形の世の中の形。そこを考えないと、現代の悪への対抗策も考えようがないってわけか。もうゴッサムシティの中だけの問題なんかじゃない。

『バットマン ビギンズ』のリアリティ路線を踏襲しつつ、完全なる社会派へと転化させたノーラン監督の手腕は驚異的というに相応しい。そして、噂に違わぬヒース・レジャーの怪演に、あまりにも早い死が心底惜しまれます。一部で言われてるように、本当にジョーカーを演じたことで精神的な重圧を感じていたとしたらあまりにも皮肉な話。好きな俳優だけにもっともっとたくさん観たかった。はたしてこの先シリーズは続いていくのか。強烈にテーマが濃密でしっかりしてるから娯楽性が少なくすら感じられるけど(実際には相当派手なスペクタクルなのに)、もはやこれ以上はできないのでは、と思えるほどの傑作でした。にしてもツライよ、ツラすぎるよ、ダークナイト!

<12/26追記>
なななーんと、来年1/24~劇場再公開決定ですってー。それまで待てば良かった? いや、2008年中に観たかったから悔いはなし。ヒース追悼の気持ちも込めて、絶対劇場で観てこよっと。

b0130850_182460.jpgb0130850_183282.jpgb0130850_184033.jpg<1/25追記>
てことで、ヒースのオスカーノミネート祝いを兼ねて、劇場再公開鑑賞@丸の内ピカデリー。改めて戦慄の150分だったなー。人間が集中できる時間を越えて一瞬も気を抜かせないクリストファー・ノーラン、やっぱあんたは凄い。完全なる偉業だ、コレは。

表(正義)しかなかったはずのハービーのコインに悪が焼き付き、スマイルorクライではない善悪のトゥーフェイスが刻まれ(カメラワーク巧すぎ)、バットマンは闇の中に追いやられてしまうのはやっぱりツラくて、日曜の朝っぱらから重い気持ちになるわー。小さいお子さんを連れてくる親の気持ちが全然わかんねーぜ!

正義こそが正しいという真実だけでは納得できない世間に対して、完全なるヒーローは幻想を満たしてあげなくてはならない。ブルースすらも幻想を拠り所にしていて、夢を与えるというのはつまりそういうこと(ああ、こんなところで綿矢りさを思い出すなんて!)。それでもこの映画を観ることで、自身の中の弱さを認め、たとえ幻想に過ぎないとしても人間の本質的な良心や善意、正義というものをもう一度考えるきっかけになるとすれば、この映画の、そしてバットマンは役割を果たしたことになるんじゃないかな。

スカっと感動するものじゃないから、人に薦めにくいけれど、とにもかくにも至高の1本。劇場のスクリーンで観ることが叶って本当によかったぜ!
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by april_cinema | 2008-12-27 00:00 | Legend
2008年 12月 26日
感想_ミラーズ
b0130850_22572839.jpg腑に落ちないなー。『ミラーズ』12月26日公開。大火災で閉店したデパートの廃ビル警備についた元刑事のベン。焼け跡そのままのそこには、なぜか美しい大鏡だけが残っていた。その中に不気味な気配と、恐ろしい数々の現象を目にしたベン。やがてそれは同居する妹、そして別居する妻子にまで広がる。謎を突き止めるべく行動するベンは、やがて1人の元少女の存在にたどりつく。
映画「ミラーズ」公式サイト

いやーなんかいろんな要素が詰まっていて、怖面白い部分もありつつ、でも腑に落ちなさのほうが上回ってて、ホラーってまあ何かしら突っ込みどころはあるもんだろうけど、そこに気づかせるか気づかせないかってのが分かれ道なのだとしたら、これはやや吸引力不足なのかも?(って一文が長いのはわざとのラビリンス) ホラーで始まって、ミステリ要素が加わったときは、おぉ、どう結びつくんだ!?と思ったけど、最後はオチたようでオチてないというか、オチつけたはいいけど納得いかねーよ。

根源の根源がわからないというか、なぜ人を殺すのかもわからないし、そのくせ妙なヒントを出してくるのもいまいち解せず。主人公も家族のために犠牲を平気で出すってのもやや閉口。妹は無駄死に(しかもその死に方が超オソロシ)、家族が狙われるのもなんだかなーという気がするし、とにかくホラーでミステリでファミリーでアクションで、最後にはクリーチャーまで登場!って盛り込み過ぎじゃん!!

音楽も大げさすぎて、ちょっと耳障り。そういえばちょっと前に『ブロークン』つー映画がありましたけど、鏡の中のパラレルワールドって発想は似てますね。人の死に方も。ただ、ハリウッドとミニシアターてことで同じネタでも方向性は随分違いますけれど。
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by april_cinema | 2008-12-26 00:00 | Starter
2008年 12月 23日
感想_ティンカー・ベル
b0130850_23174135.jpgきゃ〜妖精萌え〜☆ 『ティンカー・ベル』12月23日公開。赤ん坊が初めて笑った瞬間、新しい妖精が誕生する。今日、ネバーランドに新しく生を受けたのは、ティンカー・ベル。彼女が持って生まれた才能は、モノ作り。妖精たちにはそれぞれ"才能"があり、彼女たちの仕事によってメインランド(人間界)に四季が訪れるのだった。しかし、モノ作りの妖精は裏方仕事。メインランドには行けないと知ったティンカー・ベルは、もっと派手なない才能を求めようとし、春の準備を台無しにしてしまった! このお話は、ティンカー・ベルがピーター・パンと出会うずっと前の物語。世界一有名な妖精の、誰も知らない物語が幕を開ける。
ティンカー・ベル オフィシャルサイト

んま〜、素敵なピクシーワールド! って大げさすぎますかな。鉄板ピクサー、今回の主人公はティンカー・ベル。オープニングからしていきなり夢の国へあっという間にトリップさせてくれて、ふとディズニーワールドに入り込んだかと、ちと錯覚しちまいましたわ。たまたまオレがそんなモードだったのかもしんないけど(どんなモード?)、このイマジネーションの宝庫は毎度のことながら感服します。この世の素敵なこと——例えば春の訪れとか——は、すべて妖精の仕業だったなんて! 夢ありすぎ〜!!

お話そのものは童話レベル。『ウォーリー』と比べちゃうとかなり子供っぽいのは確かで、大人がどうってことはないけれど、それは決して見るに耐えないってことではなく。たまにはこういうので童心に帰るのも悪くないんじゃないかしらね。もちろん、お子たちにはドンピシャストライクかと思われます。『ポニョ』より断然愛らしいだろー。

ティンカー・ベルのおしゃまっぷりや、表情・動きなんかはステレオタイプだけど、ピクサーのさすがのモーションが加わると萌えに十分。4部作はやりすぎだろー、と内心訝しんでいたけれど、四季に合わせた物語と聞くと、それなら観てもいいのかも、なんて思いました。

良くも悪くもディズニーアニメ。それ以上でも以下でもないけれど、楽しくて可愛い1本です。
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by april_cinema | 2008-12-23 00:00 | Starter
2008年 12月 20日
感想_K-20 怪人二十面相・伝
b0130850_10542824.jpg普通に楽しいアクションエンタメ。『K-20 怪人二十面相・伝』12月20日公開。1949年帝都、厳しい格差社会の中、富裕層を狙う怪盗・K-20こと怪人二十面相がいた。サーカス団員の遠藤平吉は、そのK-20に騙されK-20であるというぬれぎぬを着せられる。二十面相に命を狙われた令嬢、その婚約者の明智小五郎、そして平吉は二十面相への戦いを挑む。
K-20 怪人二十面相・伝

なんでも江戸川乱歩のシリーズをベースにした『怪人二十面相・伝』ってのがあって、そっちを原作にしているらしい一作。まさにそれらしい物語をVFX駆使して楽しく見せてくれます。二十面相に大したフィロソフィーを感じないのは玉に瑕だけど、まずまず悪くないのでは。でも、ちょっと長過ぎたけどね。もっと端折って軽快にやってほしかったよ。それこそ遠藤平吉の身のこなしなみに。

金城はちょっと間抜けなおとぼけサーカス団員がハマってて、松たか子もコメディエンヌっぷりを発揮。仲村トオルのうさんくさい明智や、本郷君の美少年小林っぷりも萌えさせてくれて、なかなかバランスのいいキャスティング。アクションもVFXがしっかりしてたので、気にならずに観られます。

乱歩ファンにはちょっと物足りない話かもしれないけど、キャストのファンとかならそれなりに楽しめそうな及第点の娯楽作。ご家族そろってお楽しみいただけるかと思います。
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by april_cinema | 2008-12-20 00:00 | Starter
2008年 12月 20日
感想_ラースと、その彼女
b0130850_15141.jpg雪の降る町のホッコリ~ナ! 『ラースと、その彼女』12月20日公開。兄夫婦にも同僚にも愛想の悪いラースがついに、ガールフレンドを紹介したいと言い出した。兄夫婦が喜んで出迎えた彼女は……、人形だった。ビアンカ(その人形)をあくまで人として扱うラースに、医師の薦めもあって、兄夫婦も街の人々も眉を潜めつつも仕方なく調子を合わせる。ラースが我に返ることを願いながら…。
2008年12月20日(土)公開『ラースと、その彼女』公式サイト

いやいやいやいい映画でしたよー。なんたって脚本が巧いわ。序盤は人付き合いの悪いラースと、ビアンカに戸惑う人々っつー奇妙な設定を活かして笑いを取り、その後もなんとなくおかしみを持たせつつ。でもって中盤からはじわじわと、あと一押しで泣いてしまいそうな不思議な感覚に。そのまま焦らすだけ焦らして、焦らしたまんま終わるくせに最後にはなんでしょ、このあったかくて清々しい感じはさー! こんな感情の動き、そうそうしませんて!!

どんな大人にもある子供の部分。ラースは、母を早くに亡くしたことで、それを手つかずのまま残してきてしまっている。抱きしめられたことのない(と思われる)彼は、誰かを抱きしめることもできなくなってしまっている(と思われる)。街の人々は、そんなこと全然知らずとも彼のことが大好き。だから、どこまでもラースとビアンカにつきあう。その姿に、コミュニティのあったかさを実感。この善意しかない街が、この映画をファンタジーとするゆえんだろうけど、オレ的にはこれをリアルだと思いたくなったな。

ラースはラースなりに、(きっと)考えて、自分で決めている。だから、少しずつ、ほんの少しずつ成長している(と思われる)。(そもそもこれってカリンを安心させるため? いや、甥っ子を抱きしめてあげたかったのかも)。なんとか人の手に触れることができるようになった。(次はハイタッチだろ? そんでハグだろ??) ってまだ握手までか…! とそんな様子がまた、あと少しだけがんばれ〜!と背中を押したくなるんだね。ほら、気づけばオレだってラースが大好きになってるもん。ラースの見えるか見えないかのがんばりと、それを見守る周囲の姿にすっかりほだされてしまったわ。

小物(同僚のフィギュア、テディベア。カリンの駄々こねなどなど)や衣装(ラースのかっちりネクタイや、マーゴの雪国ルックかわゆす)も気が利いてるし、簡単に大人にならないエンディングもスバラシイ。ラースはきっとビアンカを通して自分と対話していたんだね。そしてビアンカを受け入れる街の人々は、そのまんまラースを愛していたということ。だから、ラースはああいう形でけじめをつけられたんだと思う。

ラースだけじゃなく、周囲のキャラたちまで十分に奥行きを感じさせてくれた脚本と、その世界を壊すことなく演じたきゃストたちもお見事。小さいけれど、大切にとっておきたい素敵な素敵な善良冬映画でした。オススメ〜。

<09/1/2追記>
新年一発目に劇場鑑賞@シネクイント。やっぱりホロリだ〜! この説明しきらないのにここまで情感が伝わるのは脚本の巧さと、ライアン・ゴスリングの力量でしょ。言葉もアクションも少なくても、必死に変わらなきゃ、変わらなきゃっていう意志が伝わってくるんだよね。変調のきっかけはカリンの妊娠。自身が母を死に追いやった自責のトラウマと、父が遠ざかったことによる対人不安。それでもきっとラースは、生まれ来る甥っ子とカリンに同じ思いをさせたくなかったんだよね。それがビアンカ召還という形になって表れたんだよね。

ビアンカを手放すことはツラいことだったに違いない。だけれど、ガスに、カリンに、先生に、そして温かい街の人々に報いるためにラースは決断した。それはきっとようやく一つ大人になれたってこと。やさしい音楽と、雪景色にやっぱりどうしてもホッコリしてしまいましたわ。さすが2008年私的第9位の映画だ!w
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by april_cinema | 2008-12-20 00:00 | MVP