タグ:歴史/時代/人物/事件 ( 206 ) タグの人気記事

2015年 08月 15日
感想_あの日のように抱きしめて
b0130850_1192922.jpg玄人やわ。『あの日のように抱きしめて』8月15日公開。終戦後、奇跡的に強制収容所から生還したネリー。友人のレネに連れ添われ、酷い傷を負った顔の修復に臨む。傷の回復後、ネリーは離れ離れになった夫ジョニーを探してベルリンへ。戦争の爪痕の残る町でジョニーを見つけるが、彼は顔の変わってしまったネリーが、妻だとは気づかない。しかも、あろうことか彼女に妻のふりをするよう頼むのだった。
映画「あの日のように抱きしめて」公式サイト

なかなかに重厚で渋いドラマだったなー。見応えはあるけど説明は少なく静かに進むから、かなり玄人好み。いろいろ前後関係とか予備知識を入れて、はじめてその重層感が伝わってくるなーという感じ。

まず、旦那がドイツ人であることは明言されなかった気がするけど、そこは知っておいたほうがいいような。離婚の理由も、ネリーが逮捕された状況も明らかにはされず、ジョニーは保身に走ったのか、それともネリーが口にしたシナリオが本当なのかはジョニーにしかわからない。けど、彼は生死のはっきりしない妻を探そうとはせず、お金目当てに離婚記録を取り消そうとしたのは確か。もちろん、そこにも戦後の悲惨な状況で生きるために止むを得ずだったのかもしれないけれど、どうなんでしょう。

最大のポイントは、ジョニー以外はみんなネリーを見て彼女がネリーだと認識したというところ。ジョニーはなぜネリーに気づけなかったのか。本当に一度も疑問を抱かなかったのか。だとしたらそれはなぜなのか。忌まわしい戦争の記憶とともに、自分のしたことから目を逸らしたかったからなのかな、やっぱり。過去を捨てて前に進みたかったジョニーと、過去を取り戻そうとしたネリーのすれ違いがあまりにも痛いね。ネリーはそれをようやく受け入れたラストでした。

前後関係もう少し教えてもらえるとより深くしめそうな1本。玄人好みのお仕立てでした。
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by april_cinema | 2015-08-15 00:00 | Starter
2015年 06月 19日
感想_グローリー -明日への行進-
b0130850_13122462.gif勉強になるね。『グローリー -明日への行進-』6月19日公開。ノーベル平和賞を受賞したキング牧師。しかし、公民権運動の高まりの中、まだまだ黒人差別は根強く、1965年アラバマ州セルマで血の日曜日事件が起こる。警官隊の黒人への暴力は周知の事実となり、キング牧師はその不正を世に訴えるべく、セルマから州都モンゴメリーまでのデモ行進を決行。事件を知る人々によってその人数は2万5000人にも膨れ上がり、ついには大統領までも動かすことになる。
映画「グローリー -明日への行進-」公式サイト

キング牧師に公民権運動。名前は知っていれど、その中身をよくわかっていない僕にはとても勉強になる作品でした。アカデミー賞もにぎわせ、アメリカの批評家には激賞されたという本作、とても真面目な作りで、エンタメ性は高くないけれど、正しくキング牧師という人物と、歴史の一部を知る重要な一本な気がします。てか、キング牧師って名前はたくさん出てくるけど、牧師そのものを描いた作品てあるのかな? 重要すぎてアンタッチャブルなのかな。と思いました。

ぼくには馴染みのなかった血の日曜日事件だけど、選挙権を持ちながら、黒人の登録を拒み続ける南部地域の差別が発端。非暴力の平和的デモに対して、警官隊が暴力によって弾圧、死者も出るほど残忍で恐ろしいシーンでした。実際にニュース映像が当時出回ったらしいけど、これは本当にひどすぎる。人間のこの差別意識ってなんなんだろう。僕にそれがないかって言われると、確かにあるんだよな。あいつは頭が悪いとか、デブだとか、おもしろくないとか、そういうの。意識の中だけど、そういう醜い部分が確かにある。これは他人事じゃないと言い聞かせたい。

クライマックスは、最後の行進と、牧師のスピーチ。主演のデビッド・オイェロウォは何年もかけてこの役に賭けてきたそうで、その役作りが感じられる力感あるスピーチでした。もちろん内容も素晴らしいし、話しぶりとか見た目含めて、かなり似せてきてるんじゃないかなーって思いました。実際のところを知らないんだけど。

牧師は今もこうして生きているということ。正しいものは、正しい形で受け継がれていくということ。こういう作品があるということが、世界の美しさであり希望だよなって思います。
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by april_cinema | 2015-06-19 00:00 | All-Star
2015年 05月 16日
感想_駆込み女と駆出し男
b0130850_1238634.gifへぇ〜度高め。『駆込み女と駆出し男』5月16日公開。江戸時代後期、離婚を望む女たちの駆込み寺だった、鎌倉の東慶寺。夫の放蕩に嫌気がさした、じょご。そして豪商のめかけだったお鈴が、今日も東慶寺へと駆け込んできた。そこに居合わせたのが、柏屋源平の甥っ子で、駆け出しの医者の進次郎。今も昔も変わらない、訳ありな男と女の物語、始まり始まり。
『駆込み女と駆出し男』2015年5月16日(土) 全国ロードショー

これはこれは、なかなか面白かったです。時代劇だけど、訳あり男女の物語というところで現代性あり、古典トリビアあり、でもって役者の見せ場もたっぷりかつ、知的エンタメっぽいところもありという感じですね。冒頭、ちょっと世界観を頭に入れるのに時間がかかったというか、やはり台詞回しが古典系なのでちょっとなじまなかったけど、それに慣れてきたらだんだんと物語に入っていけました。ホームページで概要みとくくらいの予習をしといたほうが入りやすいのかもしれない。

そもそも、東慶寺に駆け込んで2年間尼さんとして務めたら離縁成立っていう制度がおもしろいし、実際そこに駆け込む女性がたくさんいたというのもおもしろい。この話の中ではメイン2人とサブ2人の女性が取り上げられてたけど、まあほかにもいろんなドラマがあったんでしょうな。そして東慶寺の中の女性たちも、結局は俗世が忘れられずに若い男の匂いにムラムラしちゃったりするあたりもリアルなのかな。ちょっと男性監督目線入ってる気がして、女性はどう思うんだろう?なんて思ったりもしたけれど。で、進次郎が頼もしく見えつつも、最後にはじょごのほうがよっぽど男らしかったりするのは現代性を反映させたんですかね。身につまされつつ拝見しましたわ。

いやしかし時代劇かつ古典セリフということもあって、役者力を存分に感じましたね。まずは満島ひかり。出番がそこまで多いわけじゃないけど、冒頭で一気に存在感出まくりオーラ。この人は完全に本物。今後ますますすごいことになるわ。蒼井優たんと対決してほしいです。そしてベテラン陣ね。堤さん、樹木希林、中村嘉葎雄さんにキムラ緑子などなど、さすがすぎて。そこにひょっこり入れちゃう大泉さんも実力者だよなぁと改めて。戸田恵梨香たんは、どうしてもこの中だと見劣りしてしまったわ。ヒロインだけにちょっと残念。武田真治とか、麿赤児さんとか、山崎努さんとか、脇を固める面々もカンペキね。内山理名はもはや誰だかわからなかったね。

なにげなく馬琴の里見八犬伝とか、江戸トリビアと、素晴らしいとか素敵とかの言葉あそびも散りばめられてて、古典エンタメの様相も。強いて言うならば2時間半はちと長かったなぁと思ったけど、全体楽しませていただきやした。なじみある鎌倉の東慶寺がそんな由緒をお持ちとは。今じゃ写経とか座禅体験とかギャラリーショップとかでにぎわってますが、それは電通さんがブレーンとして入っているんだそうですよ。
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by april_cinema | 2015-05-16 00:00 | Starter
2015年 03月 06日
感想_妻への家路
b0130850_1903557.gif無茶切ないやんけ! 『妻への家路』3月6日公開。文化大革命時代、右派として当局に拘束されていた夫が脱走したという知らせが入る。妻は心掻き乱され、しかし父の記憶がほぼない娘は、脱走のせいでバレエの主役を外されてしまう。夫は妻へのメッセージを残すが、娘はそれを密告してしまい、再び家族は離れ離れに。数年後、文革は終わり、夫は晴れて自由の身となって家へと帰る。しかし…。
映画『妻への家路』公式サイト

泣かせるねぇ! このうえなくシンプルなお話なのに、なんででしょうね、この切なさは。話はごく単純で、引き裂かれた夫婦が再会したのに、妻は心を病んで、夫を認識できなかったという。でもその前後関係を丹念に描写しているからここまで胸をつまかれるんですよ。チャン・イーモウ監督の丁寧さが際立ちます。

まずはなんといっても文化大革命という、負の歴史の虚しさね。誰にも罪はなかったのに時代のうねりに飲み込まれてしまったこと。同じような悲劇はあちこちであったんだと思う。夫婦だけを取り上げるんじゃなく、中国全体の悲劇として描いているのがよかったと思う。妻が嫌悪していた男も、彼もまた時代の被害者であり、彼にも家族があったという描写は、わずかなシーンだけどとても重要だったんじゃないかな。

そして娘の存在。物心ついたときには父はおらず、その父のせいでみずからの人生が壊されたと感じる不条理。それが運命を変えてしまい、大人になってそのことに気づいたときには取り返しがつかなくなっている。彼女に罪はない。それでも後悔は拭えない。僕はこの娘の気持ちにかなりシンクロしてしまいました。あのやり場のない気持ちは、想像するだけで胸が痛みます。彼女が悪いわけでは絶対にないのに。『つぐない』も思い出させるー。

でもやっぱり極め付けはこの夫婦。お互いへのまっすぐな思いを抱きながらも、そして相対しながらもそれを通わせられない虚しさよ。夫の帰りをひたすらに待ち、5日だけを生きがいとする妻。年老いて白髪も増えても、雪の日も、変わらずに髪をなでつけ、何年ぶりに会う夫の前で美しくありたいと願う純粋さ。夫もまた、他人扱いされながらも妻に寄り添い、自らの手紙を他人のふりをして読み、そして新たに書いた手紙が空回りするあの遣る瀬無さ。思い出すだけで嗚咽が出そうになります。いったい、どうしてこんなことになってしまったのだろう。

時代のせいだって外から言うことは簡単だけれど、取り返しのつかないことがある。それは美談ではとうてい片付けられなくて。苦しいほどの愛です。簡単に涙も流せません。
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by april_cinema | 2015-03-06 00:00 | All-Star
2014年 09月 27日
感想_ジャージー・ボーイズ
b0130850_19573021.gif彼らの瞳に恋しちゃう! 『ジャージー・ボーイズ』9月27日公開。ニュージャージー出身で理髪師見習いのフランキー。貧しさから抜け出すには、ギャングになるか軍に入るしかなかった時代、悪友トミーら3人とつるんだ彼らには歌という才能があった。フォーシーズンズとして売り出された彼らは『シェリー』が大ヒット。またたくまに全米を熱狂させるスターとなるが、成功と引き換えに、家族との不和や、グループ内での確執や軋轢が生まれ初めていた。世紀の大ヒットミュージシャンに隠されたドラマに迫る1本!
映画『ジャージー・ボーイズ』オフィシャルサイト

トニー賞作品をイーストウッドが映画化っつー胸躍る組み合わせ! ミュージシャンの伝記ものだけど、ミュージカル仕立てにこだわることなく、だけど絶妙な音楽使いはさすがのイーストウッド先生! クライマックスに持ってきた『君の瞳に恋してる』だけで、もう感無量の拍手喝采だったわ。そこに至るまでは伝記映画の性格が強くてちょっと乗り切れなかったり、意外にもメタ視点とか入れてたり、なんだか不思議なテンションだったけど、このクライマックスで全部ひっくり返すくらいのインパクト。その使い方はさすが巨匠の技という感じ。とにもかくにも、言うまでもなく名曲なんですよね♪

さて、フォーシーズンズのドラマなんてまったく知りませんでしたが、ニュージャージー出身でこんな4人組だったのですね。てか写真観たらキャスト陣とけっこう似てる気が。特にトミー。フランキーの歌声はあらためてオリジナルと聴き比べると似てはないけど、フランキー役の彼の独特の声は不思議な魅力があったかな。好きな声じゃないんだけどね。で、ドラマ自体は時代が時代だけにこんなものかなーという感じ。感動とか、普遍性とかは特にないと思われます。

むしろちょっと後半までは冗長にも感じたかもしれないわ。音楽的な云々以上に、その背景のあれこれに追われ過ぎたせいか、カタルシスは『君の瞳に〜』のところ以外に少なかったのはちょっと残念。ラストの後日談とか、hall of fameのシーンとかはグッとくるもんがあったけどね〜。

貴重な物語と、後世に残る名曲の合わせ技を、稀代の映画人が監督。このマリアージュの貴重さは、100年後に語られるのかもしれませんなぁ。
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by april_cinema | 2014-09-27 00:00 | All-Star
2014年 09月 06日
感想_イヴ・サンローラン
b0130850_1429677.gifクール&ビューティフル! 『イヴ・サンローラン』9月6日公開。若干21歳にしてディオールの後継者となったイヴ・サンローラン。その才能は多くの人を惹き付け、生涯のパートナーとなるピエールとも出会う。徴兵、精神病院への入院という困難を経た後、ピエールとともにみずからのメゾンを立ち上げたイヴ。あふれる才能によってモードの帝王と呼ばれながら、孤独とプレッシャーに苛まれた半生を完全映画化! イヴ・サンローラン財団公認作品!!
映画『イヴ・サンローラン』公式サイト|2014年9月6日(土)公開

伝記映画なので物語はさておき、魅了されましたー! なにがいいって、サンローラン役を演じたピエール・ニネ君。端正なルックスで繊細そうなムード。アンドリュー・ガーフィールドとポール・ダノを掛け合わせたようなミステリアスビューティだけど甘い感じもあって雰囲気あるわー。サンローランの内気な性格と、天才ゆえの孤独みたいなところをよく表現してたと思います。それともうひとり、彼のミューズであり友人だったヴィクトワール役のシャルロット・ルボンが美しすぎる!(そんなに重要な役じゃないけど) マリオン・コティヤールの後継者かもって思ったらカナダ出身でした。でも注目しておこう。

さてさて、それにしても20世紀のファッションデザイナーたちの伝記ものってなんだかどことなく共通点がある気がするな。シャネルにしてもラガーフェルドにしても、あと畑違いだけどウォーホルとかヴィダル・サスーンとかも。だいたい同性愛者で放蕩気味で、でも繊細なもんだから苦悩して酒と薬に溺れて、みたいなね。まあでもそれはすべて実際に起きたこと。彼らの人生だったってだけのことだね。こういう偉人たちの生きた姿を見ているとなんか、20世紀ってすごく良い時代だったんじゃないか?とか思っちゃったりもして。いや、もちろん戦争もあったし、劇中でアルジェリアについても触れられてるからそんな簡単に言えないんだけど。『ミッドナイト・イン・パリ』の世界か。昔は良かったって言いたくなるような。

特に教訓とかそういうのはなかったけど、ファッションてやっぱり楽しいなって思いました。そういえば、サンローラン、3年前にドキュメンタリーがあったけど、あれより断然こっちのほうがわかりやすくていいわ。あっちは実際にピエールが語ってたけどその存在忘れててごめんなさい。てか、主演のピエール君、噂通りサンローランに似てる!
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by april_cinema | 2014-09-06 00:00 | All-Star
2014年 06月 13日
感想_ノア 約束の舟
b0130850_0435157.gifリアルだけどリアリティねーなー。『ノア 約束の舟』6月13日公開。ノアは恐ろしい夢を見る。それは、堕落した人間を滅ぼし、新しい世界を作るため大洪水を起こすという神のお告げ。ノアはみずからの使命を知り、大洪水に備えて巨大な方舟を作り始め、そこに動物たちをひとつがいずつ入れる。しかし、父の代からの仇敵トバル・カインがその動きを知り、舟を奪うべく侵略してくる。そんな中、いよいよ嵐が始まる。あの、ノアの方舟のエピソードを壮大なスケールで完全実写化!
映画『ノア 約束の舟』公式サイト

あの聖書の話をいったいどうやって…と思ってたのだけど、かなりマジでそのまんま作られてて驚いたなー。聖書はもちろんいろんな資料から探って作られた方舟は、思いきり直方体かつ、3階建て構造。別にどこかを目指すのではなく単に漂流することだけが目的だからそれでよかったんだって。その装飾性のない無骨さがリアルっちゃリアルだったかな。で、世界中の動物を入れるだけあってデカイんだわ。確かに、改めてちゃんと考えたらそのスケールになるのも当たり前なんだけど。それ以外にも、リアリティにはけっこうこだわっていて、動物は危機を察してなのか自分たちでみずから方舟に収まりにきてたり、長い漂流の間は薬で眠らせていたり。リアルっつーのかわかんないけど、素朴な疑問に対してちゃんと回答しているところが面白かったかな。

でまあ、話のほうなんだけど、いくつかの大きなテーマが投げかけられておりました。まずは、人間の罪ね。争い、奪い合う、その姿が思いきり露骨に描かれていて、でもそれは現代の紛争だらけの世界を見るとまったく変わってない姿であり、神の怒りもそりゃー避けられないよねという感じ。そして、ノアの個人的な葛藤は見応えあり。すべての人が滅びる中、自分と家族だけがそこから逃れるという罪悪感と、凄まじいまでの覚悟。助けようと思えば助けられる人もいたであろうに、それを振り切る意思についてなんて、確かに考えたことなかった。新世界に辿り着いた後に酒に溺れるエピソードがあったなんて知らなかったけど、さもありなん、だね。

そしてそこと対比するかのように描かれる命の尊さと、親から子へと受け継がれるものについて。生と死を対比的に描くことで、その価値をあらためて再認識させる意図があったように感じました。そして、その奇跡は世代を超えていくべきものというのも、普遍の価値を改めて。キャストたちもいい感じだったね。不器用で強く孤独な男をラッセル・クロウ。それを支える聖母のような存在にジェニファー・コネリー。このふたりはビューティフルマインドでも一緒だったんだね。昔のことで全然憶えてなかった。養女はエマ・ワトソン。おでこ広いね。次男は、エマと共演してた『ウォールフラワー』の彼。ナード感全然なくて同一人物と気付かなかったよ。などなど。

誰でも知っている話なので、目新しさはないのと、スペクタクルしまくりつつのヒューマン、大きすぎるテーマとあって、なかなか消化するのが難しかったのも本当。かなり体力を消耗する作品と言えるのではないかと思いました。
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by april_cinema | 2014-06-13 00:00 | Starter
2014年 02月 14日
感想_エヴァの告白
b0130850_125762.gifむやみに悲惨だな。『エヴァの告白』2月14日公開。1921年、ポーランドから移民船でNYへとやってきたエヴァ。しかし妹マグダは結核を疑われ隔離され、エヴァも船での素行に問題があったとされ送還されそうになる。そこにいたブルーノは彼女を見そめ、検査官に話をつけかくまう。しかしブルーノは移民の女たちを集め劇場で踊らせ、売春を斡旋する男だった。
映画『エヴァの告白』公式サイト

マリオン×ホアキン×ジェレミー・レナーで、この物悲しいタイトルに惹かれては観たものの、、、なんか途方もなく暗くて重い作品だったな。ほぼ救いようのない苦しいばかりでしんどかったわ。話の展開もなんだか乏しいし。

つまりはそういう時代だったってことなんだろうけど、第一次大戦中にヨーロッパから戦火を逃れてアメリカに渡って来た人って多かったんだろうな。希望を持ってくるけれど、アメリカもすべてを手放しで受け入れるはずもなく、移民たちは貧しい暮らしの中で生きるためには何でもやったんじゃないかと思われる。売春も横行していたような描かれ方だったし。エヴァに選択肢はなかっただろうし、ブルーノとオーランドにしても彼らもまた移民だったわけで。

といいつつ、キャラクターがやたらに極端だったな。エヴァは何も語らな過ぎて何考えてるかわからなすぎ。敬虔なカトリックというのも伝わったような伝わらないような。ブルーノの童貞っぷりも半端じゃなく、なにをあそこまでキレてるのか。オーランドもダメ男感丸出しだったもんなー。あれについてってもエヴァは絶対幸せになれないよ。あいつ絶対酒(禁酒法時代ですかね)か薬に溺れて女房殴りそうだもんな。

最後の最後に救いのかけらは見せたけど、それくらいじゃとても浮かばれないくらいに重かったです。マリオン嬢は依然美しかったけど、他の娼婦たちは乳さらしてたのに、マリオンだけは守られてたからなー。もんもん。
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by april_cinema | 2014-02-14 00:00 | 6th-man
2014年 01月 31日
感想_ウルフ・オブ・ウォールストリート
b0130850_134361.gif詰め込んだね〜。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』1月31日公開。勤めていた会社が倒産してしまった証券マンのジョーダン。文無しでの新しい就職先は、1ドルもしないペニー株などを扱う極小証券会社。しかしここで彼はその才能を発揮し、次々と契約をまとめる。はぐれ者たちを集め、自分の会社を立ち上げると、雪だるま式に利益を生み出し、乱痴気騒ぎの豪遊三昧。実在の男ジョーダンの、その派手すぎる人生とは!?
映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』公式サイト

ディカプリオ×スコセッシタッグの最新作は、ウォールストリートのオオカミと呼ばれた実在の人物のお話! ものすごいど派手ヒューマンエンタメだったなー。なんつーか、細かいことはどうでもいいって感じで、実はジョーダンの稼ぐシーンはちょっとだけ。あとは社員を集めて煽って煽って煽る。稼いだら遊んで遊んで遊ぶ。ストーリーとしては、もうほんとそれだけだね。いろいろ悪いこともしてるし、とんでもないけど、苦労話とか、綱渡りとかは、全然ない。あっという間に稼いで、あっという間に溺れてきますから。

見せ場は、社員相手にぶつ演説とか、豪遊の乱れっぷり、壊れっぷり。とにかく会社に娼婦読んでみたり、クルーズにストリッパー読んだり、飛行機内でCAさんと絡んじゃったり、SM女王と浮気してみたり、まあとにかく裸祭りですわ。ラリったレオ様とかもあるけど、なんか別に笑えなかったな。ギャグっぽいのは総じて日本人の趣味とは合わず滑ってたと思いますぞ。なので、これの連打だけで180分は長かったなー。退屈はしないのだけど、うーん、まあなくてもいいんじゃない?ってシーンもけっこう多かった気が。てか、ディカプリオって何やっても結局ディカプリオに見える。キャラクターの面白さはあるけど、演技としての幅広さとは思わないんだよなー。でも主演男優賞候補になるくらいだから評価されてるんだろうけど、共感しかねるわ。

お話の方は、教訓て呼べるほどのものはないと思うけど、最初はまじめだったジョーダンがあっという間に壊れていく金の魔力とかの面白みはあり。でも彼自身、そこまでのワルじゃないんだよね。女写真に小切手与えたエピソードとか、浮気をけっこうためらっちゃったりするとことか、最後に盗聴器の存在を教えちゃうところとか。最終的に捕まりはするものの、なんか変な捕まり方だしね。ってのも事実は小説より奇なりってね。FBIの彼も最後の地下鉄のシーンで、ジョーダンから持ちかけられた取引を思い出したはずだよね〜。

ペンを売る方法は、クールだったね。あの発想を見習えば金持ちになれるかな?
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by april_cinema | 2014-01-31 00:00 | All-Star
2014年 01月 25日
感想_小さいおうち
b0130850_1271735.gifこれはこれでいいお味。『小さいおうち』1月25日公開。健の祖母タキが亡くなった。健は彼女がつづっていた自叙伝のノートを遺される。そこに書かれていたのは、タキが女中として平井家に奉公していた昭和初期の話。玩具会社に勤めるご主人様。若くて美しい奥様の時子。そしてまだ小さいぼっちゃん。彼らが暮らすのは坂の上のおしゃれなおうち。そして、時子と主人の部下である板倉の秘め事。タキが生涯抱えていた思いとはなんだったのか。
山田洋次監督最新作『小さいおうち』2014年1月25日ロードショー!

中島京子の直木賞作品を山田洋次監督が映画化! なかなかどうして味わい深かったなー。基本的には原作の良さを忠実に再現していたし、そこに山田監督らしい正統派ドラマのメソッドがミックスされた感じ。原作は、ミステリーとは言わないけど、タキちゃん視点で当時が描かれていくわけだけど、映画はそれをもう少し客観的な世界として真っ直ぐ描いている。当時の暮らしぶり。戦争に向かっていく気配。そして時子の秘密。タキ目線を主観映像にせず、どこの小さいおうちにもありえたことのように描写していた気がしました。

原作の詳細がうろ覚えになっていたので、読み返すような気持ちで観れたのもよかったのかも。小説だけだと想像しきらなかった昭和初期の様子も、こうして絵で見るとまた違った印象だよね。和装と洋装、女中奉公、インテリアやおもちゃなどなど。その中に松たか子&吉岡秀隆の異常なハマりっぷりがすごいし、台詞は少ないけど黒木華ちゃんのミス女中っぷりもどんぴしゃすぎるぞヲイ。山田監督らしい、演じてるように演じている感じも、昭和ドラマだとことさらに合うし、役者さんたちも見事に表現していたように見えました。

戦争に向かうきなくささは今の社会の雰囲気とどこか通じるものがあることとか、遺された板倉の想いとか、細かいところもきちんと見せる。なにより、生涯独身を貫いたタキが本当に秘めていた想いはなんだったのか。時子への憧れ以上の想いか、それとも板倉への淡い恋なのか。いずれにしても罪と罰を背負い続けた彼女の、描かれていない60年が想像されるよい終わり方。原作では、タキのフィルターを通さない時子の姿について、最後に言及があったと思うけど、それを映画ではあえてしなかったのは、タキの純粋性を壊したくなかったからかもしれないな。

監督は、恭一ぼっちゃんと同じくらいの年齢だそうで、そういう意味での思い入れもあったとか。もう一度原作を読みたくなりましたよ。
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by april_cinema | 2014-01-25 00:00 | Starter